スペースミッション機器チーム

宇宙天文学では、地球大気の影響を受けることなく、あらゆる波長で宇宙を観測することができます。先端技術センターでは、衛星に搭載する観測装置の開発も行っています。地上で使われ成熟した技術と既存の宇宙技術を組合わせて、宇宙空間で使用可能な技術に発展させる取り組みは、衛星に搭載する観測装置開発の大事なプロセスです。

SOLAR-C

2020年代後半の実現を目指して計画されている次世代の太陽観測衛星です。高い解像力と感度をもった極端紫外線帯域の観測装置により、一万度の彩層から数百万度を超えて加熱されるコロナまでの広い温度域を、隙間なく分光観測します。プラズマやエネルギーの流れを捉えるこの先鋭的な観測を実現することにより、磁場により引き起こされる太陽活動現象の機構の解明を目指しています。

先端技術センターでは、光学設計や望遠鏡とコンポーネントのインタフェース設計支援を行っています。

JASMINE

赤外線で位置天文観測を行う世界初の衛星計画で、2020年代後半の打上げを目指しています。可視光では見通せない天の川銀河の中心領域にある星々の位置と動きを、10万分の1秒角に迫る高精度で測定します。これにより銀河中心に潜んでいる天の川銀河全体の変遷の痕跡を捉え、天の川銀河全体の形成史を解き明かします。また、太陽より軽い恒星周りの生命居住可能領域にある地球型惑星の探査も行います。
先端技術センターでは、撮像を行う赤外線検出器や検出器を-100℃に冷却するための装置の開発を行っています。

CLASP and CLASP2

NASAの観測ロケットを使って、太陽の彩層・遷移層(彩層とコロナの間にある薄い層)が放つ紫外線域のスペクトル線を、高精度(<0.1%)で偏光分光観測するプロジェクトです。先端技術センターは観測装置の設計や組み立て試験などの支援を行いました。
これまでCLASP (2015年)、CLASP2 (2019年)、CLASP2.1 (2021年)と3回の飛翔実験を実施し、世界初となる紫外線の偏光分光観測に成功するとともに、コロナ直下の磁場の様子を明らかにしてきました。このような新しい観測技術の確立を目指す開発は、その科学成果とともに、SOLAR-Cなどの次世代衛星計画への布石となります。

SUNRISE-3

2024年にフライトを計画する国際共同気球プロジェクトで、口径1mの大型光学望遠鏡で成層圏から太陽を観測します。 高解像度で高精度な近赤外線偏光分光観測により、太陽大気における磁場の3次元構造を測定し、磁気エネルギーの輸送と散逸過程に迫ります。気球フライト時の熱真空環境でも性能を発揮する光学構造設計と製作に加えて、性能を実証する試験を先端技術センターのクリーンルームと熱真空設備で実施しました。

FOXSI-4

2024年春の打ち上げを目指して準備している日米共同の太陽フレアX線集光撮像分光観測ロケット実験です。高精度のミラーで集めたX線を、1秒間に数百回の連続撮像が行える高速度カメラを使って撮影することで、X線光子 1個1個を個別に計測します。この世界初の太陽フレア観測が成功すれば、太陽フレアが生み出す高エネルギー現象の物理情報がこれまでにない精度で引き出せるようになり、太陽フレアで起きているエネルギーの解放・変 換・伝搬のメカニズムの理解が大きく進みます。先端技術センターでは、裏面照射型CMOS検出器を用いた軟X線用高速度カメラと、金属3Dプリンターで製作するプレ・コリメータの開発と評価を支援しています。

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