光赤外ミッション機器チーム

光赤外線天文学は、目で見える光と熱として感じる赤外線を用いて宇宙を観察する天文学です。先端技術センターでは、主にハワイ島マウナケア山にあるすばる望遠鏡や世界最先端の望遠鏡として建設中のTMT(Thirty MeterTelescope)に搭載される観測装置の開発を行っています。

IRIS / TMT

日米加中の国際協力で開発が行われています。日本は赤外線画像を取得する撮像系を担当しています。先端技術センターでは、液体窒素温度下(約-200℃)で回折限界の結像性能を持つ光学系と10年間メンテナンスなしで稼働する機械駆動系、一億分の一度の角度精度で天体の位置を測定する手法の開発等、これまでにない技術課題に挑戦しています

WFOS/TMT

画像提供:カリフォルニア工科大学

可視広視野多天体分光装置 Wide-Field Optical Spectrometer (WFOS)は可視光の天体画像とスペクトルを取得する機能を持っている装置で、アメリカ・中国・インドとともに開発が進められています。先端技術センターでは面分光ユニットを組み込むアップグレード計画の検討を行っています。

HSC / すばる望遠鏡

Hyper Suprime-Cam(HSC)は、すばる望遠鏡の主焦点に搭載されているデジタルカメラです。先端技術センターで開発されたカメラ部には、焦点面に116個のCCD(合計約8億7000万画素)が並んでいます。CCDはデュワーに封入され、-100℃に冷却して、専用のエレクトロニクスで読み出されます。HSC は広視野、高解像度、高感度という特色を生かし、新しい天体や現象を探査する研究に力を発揮します。また重力レンズ効果を用いた、ダークマター分布の直接探査を目的とした観測も行っています。

光赤外線検出器開発

可視光・赤外線天文観測に必須のCCD・CMOSセンサ・近赤外線検出器の開発は、企業と共同で行っています。周辺エレクトロニクスの開発や評価試験をATC内で行い、新しい観測機器の開発につなげます。回路システムの提供や検出器搭載などの支援も行っています。

FOCAS IFU/すばる望遠鏡

銀河など広がった天体の全域を一気に分光できる面分光と呼ばれる機能をすばる望遠鏡の可視光撮像分光装置FOCASに追加するユニットです。複雑な形状で精度も必要なミラーホルダーや組立治具は先端技術センターで加工されました。また組立・調整も先端技術センターの実験室で行われました。FOCAS IFUは2018年度に完成し、現在も共同利用で使われています。

SWIMS-IFU

東京大学アタカマ天文台6.5m望遠鏡のための近赤外線分光器SWIMSに面分光機能を追加するためのユニットで、先端技術センター、東京大学、理化学研究所合同で開発されました。弁当箱程度のサイズの中に、小さいもので数ミリ角のミラーが80枚も 組み込まれた非常に複雑な光学系です。さらに全体をマイナス200度近くまで冷却しても変形しないように、鏡面を含めほぼ全てがアルミニウム合金からの超精密加工による削り出しで作られています。

NINJA/すばる望遠鏡

NINJAは可視光から近赤外線までのスペクトルを一度の露出で得ることのできる分光器です。すばる望遠鏡で開発中のレーザートモグラフィック補償光学系と組み合わせることにより高感度を達成し、主に重力波源の観測から元素の成り立ちを解き明かそうとしています。

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